デイサービスで幸せにはたらく。

広島市中区江波のデイサービスセンターけいあい園の相談役のブログ。参謀として、理解者として、黒子として、トップと現場の橋渡し役になりながら、素敵な職場・介護事業所にするお手伝いをしています。ブログを書くのもそのひとつ。記事によってはけいあい園以外の方、介護業界以外の方にもお役に立てると思います。組織運営でお悩みの方、現場で悩みながら働かれている方のきっかけになれば幸いです。

第8話 現場は人手不足?では適正な人数は?デイサービスの人員配置基準

こんにちは、藤田です。

不定期な更新ですが、“皆々が互いの幸せづくりに貢献する”という理念に共感した私なりのアプローチで働きやすい職場づくりの参考資料的な位置づけでブログを活用いただければと思って書いています。

 

さて、今日は介護事業所の人員について検討して頂きたいと思います。介護業界は慢性的な人手不足と言われ続け、どこのに行っても『うちはスタッフがばっちり足りていて・・』という事業所は見かけません。

しかし本当に足りていない状態であれば事業を継続してはいけないことになっています。つまり営業できているということは“基準上は”満たしていることになります。現場がしんどくても、です。

ちなみにデイサービスセンターけいあい園で例えるとこんなイメージです。※もっと細かいルールがあるんですがイメージを掴んでいただきたいので割愛します。

管理者・・・・・・1人

生活相談員・・・・1人

介護職員・・・・・利用者15人に対して1人、

         以降5人利用増ごとに介護職員1人

看護職員・・・・・1人

機能訓練指導員・・1人(看護職員が兼務可)

つまり定員割れやお休みの利用者が相次いだりして15人以下の利用の場合、介護職員は1人、看護師さんが機能訓練指導員を兼ねて登録されている場合は、管理者と相談員あわせて4人いれば、基準は満たしています。4人で送迎から入浴、食事、排せつ介助、レクリエーションに記録作成と、休憩時間も確保して、全ての業務を回しましょう。

『そんなムチャな話あるかいな・・・』と思われるかもしれませんが、あくまで最低限の基準はそうなんです。ここからは経営者だけでなく、現場スタッフの腕の見せどころなのですが、人件費を切り詰めすぎても、人員にゆとりを持たせすぎても運営は厳しくなります。デイサービスは介護報酬が定められていますから、職員が多いから利用料を2倍にする、というわけにはいきません。

 

せっかくなので、生々しい話ですが事業所の売り上げを想像してみましょう。介護報酬はオープンになっているので誰でも調べられます。ちなみに高齢者1人が7時間程度デイサービスを利用した時の1日の費用は分かりますか?要介護度によっても全然違いますし、事業規模や加算の取得状況、食費などの費用にもよるのですが、仮に平均要介護度1~2で7000円としましょう(安めに見積もってます)。1日当たり10人が利用するとします。月曜から土曜まで営業したとして月に26日営業するとします。

すると7000円×10人×26日=1,820,000円(1か月あたり)

年間では1,820,000円×12か月=21,840,000円

デイサービスの平均的な人件費率は約68%と言われていますので、上の計算の場合、年間総支給額1400万円くらいが人件費として準備できるでしょう。年収で計算してみると何人くらい雇えるかイメージがつくと思います。正社員は社会保障費や賞与なども考慮するとパートさんの約3倍のお金が必要ですので、どういう人員構成で運営していくか考えることも事業継続のためには重要です。

かなり乱暴な計算でしたがイメージがわきましたか?『人が足りない』との声にクギを刺したいわけではありませんが、職場の健全運営のために把握しておいて損はないでしょう。もちろん加算を所得したり利用者さんが増えることで数字は大分変わってきますのでご注意ください。

 

利用者さんを事業所が選べるわけではありませんし、タイミングというか運任せなところもあります。あまり手のかからない(表現としては極めて失礼ですが)20人に利用いただくのと、対応にとことん工夫の要る5名のご利用では後者のほうが大変だったりします。同じような条件の利用者で固める必要もないのです(やろうとしても無理です)が、デイサービスの特色をはっきりさせることで自ずと似たニーズの方からの申し込みは見込めますので、そういう視点でけいあい園の良さというか持ち味を振り返る作業は必要だと思います。

『リハビリに特化している短時間型デイサービス』に寝たきりで医療依存度の高い人は合わないでしょうし、運動を中心に頑張りたい比較的お元気な方が『医療スタッフの充実した1日型のデイ』でゆったり過ごすわけにはいかないでしょう。

 

話がそれましたが、意外とデイサービスの人員基準はこんなものなのです。つまり、介護職だから、看護職だから、経営者だから現場スタッフだからと資格や肩書を言い訳にして互いに業務の線引きにこだわっていたのでは現場は回りませんし、かといって自分の立場や役割を認識せず目の前のことにとらわれているだけでも適正な運営が行えません

 

与えられた環境で最大限のパフォーマンスを発揮できるように工夫するだけです。効率の良さを考えるのは重要です。無理をしても良いことありません。以前のブログでイベントが必要か問題提起してみたのもそのためです。しかし効率だけを優先した結果、利用者やスタッフさんの満足度が下がるようでは意味がありません。バランスが大切です。

行きつく先が“バランス”という感覚的な表現になってしまい申し訳ないです。

結局は“回し方”ということなのですが、ここで過去のブログに書いた5Sや動作経済の4原則といった考え方を活かす場面がやってきます。物品の配置の仕方、送迎の回り方、シフトの組み方、それぞれの職種の動き方に至るまで、今より少しでもきれいに片付いて、距離が短くできたり、同時にできたり、楽にできたり、数が減らせたら、限られた人員で出来ることが必ず増えます(休憩時間も含めて)。今後具体例を紹介していきますので参考にしてください。