デイサービスで幸せにはたらく。

広島市中区江波のデイサービスセンターけいあい園の相談役のブログ。参謀として、理解者として、黒子として、トップと現場の橋渡し役になりながら、素敵な職場・介護事業所にするお手伝いをしています。ブログを書くのもそのひとつ。記事によってはけいあい園以外の方、介護業界以外の方にもお役に立てると思います。組織運営でお悩みの方、現場で悩みながら働かれている方のきっかけになれば幸いです。

第6話 デイサービスのイベント行事は必要だと思いますか?

こんにちは、藤田です。

 

デイサービスけいあい園の相談役として、経営者とスタッフさんの橋渡しや、業務改善のヒント、職場環境づくりのお手伝いをすることを目的にブログを書いています。公開制限はしていませんので、偶然このブログをご覧頂いているっていう方にもお役立ていただけたら嬉しいです。

さて、今日はデイサービスで行われているイベント行事についてです。

 

デイサービス行事ってやらないといけないんでしょうか?

 

イベントそのものを否定しているわけではなく、純粋な問題提起です。

正月に始まり節分、お花見、季節は流れてそうめん流し、スイカ割りに縁日に盆踊りに敬老会に・・・と、デイサービスによって様々なお楽しみ企画が催されています。利用者さんもさぞかし楽しまれていることでしょう。

 

しかし、イベントひとつとっても企画から始まり、スケジュール調整や役割分担、案内、準備から片付けに至るまで結構大変ですよね?挙げ句の果てに頑張るスタッフと受け身のスタッフの差がはっきりしたり。ただでさえ人手不足で忙しいのに、業務に追われて疲労が重なったり、人間関係に亀裂が入ってしまったら、何のためのイベントなのかわからないですよね。いやならやめればいいと思います。日々の機能訓練とかコミュニケーションを頑張って、世間で行われているイベントに独力あるいは家族・友人と行けるように仕向けていくのも手だと思います。

 

『利用者に楽しんでもらえれば満足なんです』と心から考えている人もいます。現場の鑑だと思います。私だって一生懸命企画準備したイベントで利用者の笑顔を見るのは最高な気持ちになりますし、また来年も何とかしようと思ったものです。利用者にとっても素敵な思い出のひとつになったことでしょう。一方で、様々なリスクやコストも伴っているのがイベントです。飾りつけやプレゼント、特別感を演出するためにいつもより手の込んだことをしますよね。ふだんと違う環境で転倒や誤嚥の危険性も増えるかもしれません。『やってよかった、笑顔も見れたし』自己満足で終わらせるくらいならやめた方が無難でしょう。

 

というわけで、デイサービスのイベントは無意味なので、今後はやめてしまって日常業務にエネルギーを集中し、日々のケアの質を上げましょう・・・と言いたいわけではありません。

 

 

イベントは何のためにやっているのでしょうか

 

 

以前あるグループホームを見学させていただいたとき、壁に張り紙がしてありました。『〇月〇日、どこそこで音楽会をします』・・経験の浅かった私にはただの案内文にしか感じませんでした。

『これ(張り紙)こそが、“関わり”だよ』

施設職員さんが熱く語ってくださいました。あそこのおばあちゃんは認知症だけど、音楽会があるときちんとした格好が必要と思って念入りにお化粧をする。こっちのおじいちゃんは体調の波が大きいんだけど、音楽会に向けてカラオケをして調子を整えている。またここのおばあちゃんはこの間まで歌が大嫌いだったのに、イベントの間は上機嫌でゲストの方と歌を歌うの。張り紙を見て会話をして、それぞれがそれぞれの目標に向かっておられるというお話でした。

 

ひとつひとつのイベントが、利用者にとってモチベーションとなり、新たなアセスメントにつながる。『こうしてみたら意欲が出るんだ・・』『この動きは出来そうだな・・』『今のエピソードは初めて聴いたな・・』今後の支援のヒントになる様々なきっかけを得る場、スタッフにとって利用者への固定観念を打ち破る“気づきの場”になるんです。

他にも、自分たちで企画することによって利用者の得意なことや好きなこと、目標にしていること等を改めて振り返りますよね。企画・準備・進行・片付け・振返りを通じて日常の介護業務では鍛えられない脳みそや感覚が研がれます。それは今後の業務だけでなく、プライベートや転職を考えるなんていうときにも武器になると思います。

 

せっかく頑張って準備したイベントを『楽しいね』でスルーしてしまうのは結構もったいないということです。買い物でよく『コスパ(コストパフォーマンス)が高い』っていいますけど、イベントを通してかけた苦労以上のモノを得たいですね。

 

というわけで、デイサービスでのイベント自体を否定するつもりは全くありませんし、私も好きなんですが、実はかなり意義のあることでもありますので、今後も目的をもって取り組んでいきたいと思います。(回数や内容を見直すのは、ありだと思います)

 

グループホーム見学で得た感動が私にとっては大きいものだったので紹介させていただきました。