デイサービスで幸せにはたらく。

広島市中区江波のデイサービスセンターけいあい園の相談役のブログ。参謀として、理解者として、黒子として、トップと現場の橋渡し役になりながら、素敵な職場・介護事業所にするお手伝いをしています。ブログを書くのもそのひとつ。記事によってはけいあい園以外の方、介護業界以外の方にもお役に立てると思います。組織運営でお悩みの方、現場で悩みながら働かれている方のきっかけになれば幸いです。

第13話 祝・新たな船出

こんにちは、相談役の藤田です。

 

11月1日はけいあい園にとって新しい一歩になる日ですね。先代の医療法人から、かずさんが立ち上げた株式会社慈莉庵(しりむ)としてのスタートです。

経営をしていると色んなことが起きますが、ひとまず円満に移行ということで心機一転【新・けいあい園】として日々がんばりましょう。

とはいえデイサービスを日々利用される高齢者の生活を支えるという意味ではこれまでと変わりません。建物もメンバーも一緒ですしね。

 

これを機に経営理念があらためて皆さんに共有されました。

【皆々が互いの幸せづくりに貢献する】

それぞれの解釈があると思いますが、個々が持っている良いところを掛け算のように組み合わせていって、幸せな職場づくり、利用者の幸せにつながるケア、地域の幸せにつながるサービスを提供していけたら良いですね。

困っている人や頑張っている人の役に立ってお金がもらえたら個人的にはとても幸せに感じます。

 

さきほど「変わらない」と書いたばかりですが、国の政策や利用者の生活スタイル・価値観が変化していくなか、時代のニーズに対応していくという意味では、いろんなことが変わっていく(変えていく)必要はあると思います。これから色んなアイディアを実行に移していくことになろうと思いますので、出来るところから着実に歩んでいけたらいいと思います。

 

ただ基本的には、奇をてらった目新しい何かよりも(それはそれで大切)、当たり前のことをきちんとこなしていくことの方が長く支持されやすいです。介護技術や接遇などの基本的な部分はそうですし、ブログの第3話で紹介した『5S』や、第7話の『ケアマネさんがデイを選ぶポイント』にもあるように、結局はハードよりソフトが重要です。

 

それは働きやすい職場づくりをすることが最も効果的です。こつこつ改善を重ねていくことで実現できます。受け身でいる必要はありません。

 

今していることを振り返ったり勉強し直したりするだけでどんどん“気づき”が得られるはずです。言われてするより自分たちで気づいてするほうが何倍も気持ちが入ります。そして振り返りや勉強もだらだらやっていてもキリがありません。解決したい、乗り越えたい課題も多いと思います。15分なら15分と決めて振り返りや勉強の時間を取ってみるだけで変わってきますので、続けることが大切です。残業が増えても疲れるだけです。ぜひちょっとずつ試してみることをお勧めします。

 

私も相談役という立場で働いている人がいきいき仕事に向き合えるような環境づくりの手伝いを託されたわけですから、出来るアドバイスは何でもさせていただきます。ただ体が使えなくて申し訳ないです。

 

皆さんが何から手を付けるべきかの優先順位に困ったら、まずは5Sから実行してみてください。介護の業務も詰まっているでしょうから、大掛かりな断捨離とか大掃除をする必要はないと思います。物の置き場をちょっと変えてみるとか、分かりやすく整理整頓するとか、ラベルを貼るとか・・。それをメンバーで共有してしくみに変えていく作業です。環境が改善されるのが目に見えて実感しやすいです。やり方が分からなかったら第5話『動作経済の4原則』に立ち返ってみてください。

 

新しい船出は期待だけでなく不安もあるはずです。また事業所に顔を出しますので遠慮なく相談くださいね。

第12話 経営者さんの頭の中をうまく言葉にしたある本の“作者プロフィール”

こんにちは、けいあい園の相談役の藤田です。

 

皆さんはふだん読書されますか?

もともと全くといっていいほど本を読まなかった私ですが、思い立って速読教室に通うようになってから(もう教室自体は卒業しましたけど)読書量はすごく増えました。行動に移さないと意味ないかもしれませんですが、いろんなヒントが読書から得られます。それこそストレスコーピングとして有効です。

 

経営者のかずさんが『自分の価値観にすごくマッチした』という本があったみたいなのでシェアしますね。共感することを強要するつもりはありませんが、どういう価値観を持っている人なのか、理解を深めることは必要です。経営者の思考回路をのぞき見するみたいで楽しくないですか(笑)

 

本のタイトルは忘れてしまいましたが、その作者のプロフィールがこちら。

 

【行動指針】

1.人との出会いには人生を変える力がある。

2.人生にこう生きなければいけないという方程式はない。

3.自分の可能性を信じること、あきらめないこと。

【人生で達成すべきこと】

1.本気で夢に向かっているあなたを応援すること。

2.あなたをあらゆる捉われから解放すること。

3.あなたのために信頼できる人間でいること。

【人生の目的】

人生の目的は、心身が満たされた最高の状態となり、一つでも多くの経験と知識を智慧と変え、それを多くの人と共有し、高めあい、生まれた意義を最大限に理解、発揮し、人生を全力で楽しんで生きること。

 

 

いかがですか?けいあい園の経営者の頭の中はこんな感じみたいです。『なんか・・暑苦しい』『現実とギャップが!』とか感じましたか(笑)人によっては暑苦しく感じると思います。ただし情熱的に人生を送るのはとても楽しいですけどね。抜き差しのバランスのとり方も人それぞれあるでしょうし。

 

私はこの文章を読んで、けいあい園の理念“皆々が互いの幸せづくりに貢献する”に通じると感じましたし、より具体的なイメージがわくと思いました。

 

スタッフさんだけじゃなく利用者さんにも目的を持ってもらいたいです。目的に大小は関係ないです。参考にしてみてください。

第11話 ストレスコーピングで悩みを和らげる

こんにちは、けいあい園相談役の藤田です。

職場をより良くできそうなネタがあればどんどん取り入れていただこうと思い、いろいろ書いてますので是非参考にしてみてください。

 

前回・前々回とお伝えした内容に関連して、今日はストレスコーピングについて紹介します。人間、悩みをなくそうという発想自体に無理があるとは思いつつ、心の病を防ぐ方法は知識として持っておくべきだと思います。ストレスの蓄積は病気にもつながるからです。

コーピングは「対処」と訳せます。ストレスの対処には様々な方法があるので、自分に合った方法を取り入れていけばいいです。とにもかくにもまずは対処するべきストレスを理解する必要がありますので、自分が感じているストレスが何なのか、例えば紙に書き出してみるなどしてみることをおすすめします。やみくもにポジティブシンキングを心がけても無理が生じます。

 

ストレスコーピングは大まかに3種類に分類されます。難しい用語を覚えることが目的ではありません。内容を理解してみてください。

①問題焦点型コーピング・・・ストレスの原因(ストレッサー)に働きかける。

②情動焦点型コーピング・・・ストレスへの認知の仕方を変えることで、受けるストレスをなくすあるいは少なくする。

③ストレス解消型コーピング・・・受けてしまったストレスを体の中から追い出す、発散する。

 

介護の仕事をするうえで生じやすいストレッサーの例はこんな感じです。

①利用者に対して

・うまくコミュニケーションが取れない

・過大な要求をされる

・こちらが不快になるような言動をされる

②利用者の家族に対して

・過大な要求をされる

・こちらの仕事ぶりや態度に対する不本意なクレーム

③上司や同僚に対して

・いじめやえこひいきがある

・仕事を正当に評価してくれない

・不安や悩みを相談できる人がいない

④事業所に対して

・長時間勤務、業務量の多さ

・金銭的報酬の少なさ

・身分の不安定さ

・将来の自分の仕事内容や地位が不明確なまま

⑤自分自身に対して

・仕事に自信が持てない

・利用者さんの役に立てない

・仕事上の自分の役割がよくわからない

 

上記はほんの一例ですが、なるほどと思っていただけるものもあるかもしれません。日常的に色んなストレッサーに襲われているわけです。今日のテーマはストレスを和らげることですが、そもそも『ストレスが溜まっている』サインに自分で気づくことがまず一歩目です。ストレスに気づかずにバーンアウトしてしまうのが一番つまらないことです。ストレスのサインとは具体的にこんな感じです。

【心】・・●落ち込んだ気分になる●意欲が低下してやる気が出ない●集中力が出ない●イライラしたり不機嫌になる●不安が高まり落ち着かなくなるなど

【体】・・●頭痛●胃痛●下痢●じんましん●腰痛●高血圧●慢性的な疲労感●不眠●食欲がないなど

【行動】・・●人づきあいを避けようとする●他人に対し攻撃的になる●ひきこもりがちになる●たばこやお酒、食べる量が増えるなど

 

もしもバーンアウトに陥ってしまうと、長期休養が必要になり、回復し仕事や社会に復帰できるまで時間もお金も体力もたくさんの犠牲を払わなければならなくなる可能性もあります。できるだけ早めにストレスを把握して解消したり、ストレスが生まれる状況を改善することが大切です。自分の身を守るのは、自分です。

 

では実際に自分自身のストレスに対してどんなアクションが起こせるでしょうか。ストレスを解消するための“コーピング”には以下のようなものがあります。

①積極的な問題解決

問題の原因を明らかにして、積極的に解決しようとするコーピング。例えば、問題について情報を集め、解決方法を考えて実行する。

②放棄・あきらめ

問題が起きたことはしょうがないこととあきらめるコーピング。例えば、この問題は自分のせいで起きたわけではないので、しょうがないと納得する。

③回避・休養

問題そのものから一時的に距離をとるコーピング。例えば、旅行に出かけてリフレッシュする。

④相談

他者からの援助を求めるコーピング。例えば、同僚に相談したり、愚痴を聞いてもらう。

⑤見方を変える

問題を別の視点からみるようにするコーピング。例えば、今は大変だが自分にとってはいい経験になるとプラスに考える。

 

いかがでしたでしょうか?前回、前々回のブログで紹介した『期待しない』は②の放棄あきらめにあたり、『地力をつける』は①の積極的な問題解決にあたります。④の相談はつながりの会のようなコミュニティに参加するのも有効ですし、⑤はこのブログに込めている私の魂そのものだったりします。

いちいち『これはどのコーピングで・・』というふうに日々過ごしてきたわけではありませんが、改めて理屈を知ると当てはまるものが多くて理解が深まります。

みなさんも、このブログの内容がきちんと理にかなっていることがわかって頂けましたでしょうか(笑)

しかしここに挙げたことは一例です。自分に合ったストレス対処方法でメンタルをすっきり保てるよう、意識的にコーピングを使い分けたり、組み合わせたりして効果的なセルフケアを行ってくださいね。

 

本日も長文にお付き合いいただきありがとうございました。

第10話 他人や環境に期待せず、地力をつける

こんにちは、けいあい園相談役の藤田です。

 

前回は悩みを減らすコツとして『期待しないこと』について紹介しました。ちなみにこの方法はストレスコーピングといってストレスと上手に付き合うための技術や能力のひとつで、決して私の持論のみを語ったわけではありませんのでご安心ください。興味のある方のためにまた色んな方法を紹介していきます。

 

『人にも環境にも期待しない』こういう表現だと誤解されそうなので『あるがままを受け入れる』ほうが伝わりやすいでしょうか。とにかくそうすることで肩の力が抜けるような感覚が得られて気持ちが軽くなるのですが、それだけでは不十分なこともあります。

前回の補足の意味もあり今日はその続編を書きたいと思います。読む前に、『30代が偉そうに説教臭いことを・・』と感じてしまいそうだと思ったら読まないでください(笑)

 

たぶん、悩みやすい人は、何かがうまくいってもほかの理由を見つけてきては、しっかり悩み続けるんです。昔の私のことです(笑) 同情で飯が食えたらいいですが、現実は周囲の足を引っ張るだけです。工夫すれば前進するかもしれないのに、一歩前に出られないのでしょう。現状を変える気持ちや力がないのであれば、悩むより受け入れてしまったほうが楽です。

ただ私は前進したかったので、一歩前に出ることにしました。

 

とにかく環境や他人に対して不要な期待はしない。期待するから、思い通りにならなかったときにヘンに裏切られたような気持ちになって落ち込んだり腹を立てたりする。数年前まで私はこんな感じでした。もともとそういうもの(人)だと割り切ることで感じずに済んだストレスは過去にもたくさんあったのかもしれません。

 

しかしながら割り切るだけでその場がしのげたらいいですが、何かを解決しないといけない場面というのも多いですよね。目の前で利用者が怒っていたり、業務がストップしていたり、電話の向こうで相手が待っていたり・・・。そのとき役に立つのは、他人や環境ではなくて自分の力です。他に期待しないのですから当然です。そこをどうにかするのはもう自分次第です。

 

ストレスを減らすには『期待しない』ことと『地力をつける』ことはセットで必要です。言い換えると『悩まない力』と『解決する力』です。

 

介護技術だけでなく、デイサービスで働いていたら、いろんな力が身に付きます。コミュニケーション力、行動力、接客力、表現力、分析力、それだけじゃなく(仕事を引き受けていたら)パソコンスキルや営業の力、コーディネート力、掃除の技術や運転もうまくなりますよね。人脈だってつけられます。全部を兼ね備える必要はないですけど、そうやって自分で解決するための武器が身についていきます。介護業界の仕事は侮れません・・。

 

シゴトだけで身に着けるのが難しい場合は、自分から動いて外に出て、セミナーやスクールに通ってみたり、交流会(先日お伝えした『つながりの会』もそのひとつ)に参加してみたり、読書だって自分に足りないものを補ってくれます。そうして身に着けたものを、職場のいろんな場面で惜しみなく実践していき、結果につなげることを繰り返していくことが、地力=知恵をつけることにつながり、困ったときに誰かをあてにすることなくスムーズに乗り切れるようになるのです。

 

かくいう私も、何でもできるわけではありません。ですが、ちょっとした参考書やネットにまとまっている情報を読んだり、各方面に詳しい友達を作ったり、手探りでいろいろ試しているうちに、それなりに知恵がついて、うまくいかない理由を他人や環境のせいにする必要がなくなってきました。

 

そんな私の知恵がけいあい園を良い職場にするための役に立つのであれば、喜んでお手伝いします。また次回。

第9話 あれこれ悩まずメンタルを安定させるコツは“期待しないこと”

こんにちは、藤田です。

 

けいあい園の職場がより働きやすくなるために、誰かにとってヒントになればと思って書いてます。的外れな内容だったら遠慮なく指摘してください(笑)

 

さて、今日のテーマは“悩まないコツ”

 

仕事や生活の中でなにかと悩んでしまうことってありますよね。同僚や上司部下との関係、利用者さんとの関係、仕事の大変さとか自身の健康状態、給料や休日の少なさなんかもありそうですね。悩みは尽きることがないくらいです。悩みがない人なんているんでしょうか!

 

メンタルヘルスケアの大切さが叫ばれて久しいですね。体だけでなく心が健康でないと仕事も生活もうまくいきません。50名以上の職員がいる企業はストレスチェックが義務付けられるなど、国としても取り組みが強化されています。やりがいに溢れ働きやすい環境を整えるのが経営者の重要な仕事の一つでもありますが、環境がどれだけ良くなっても悩んでいる本人の意識が変わらなければ何にもなりません。下町ロケットの佃社長のように皆の心を鷲掴みにするような熱いトークが出来ればいいですが、そこまで上手に話せません苦笑

 

極端な例だと『悩むことが美徳』みたいなノリで、仏教の考え方で確かにそういうのもあるんですけど、実際それほどでもないことのはずなのに眉間にしわを寄せて悲劇のヒーローさながらに格好つけている人もいます。悩みがなくなることのほうが不安なのかもしれません。私の身近にも居ましたよ。悩んでいる自分に酔っているのか“出口”を見つけるつもりがなさそうだったので、一緒にいても得るものがないと思い付き合うのをやめました(笑)

 

同情されて解決するなら私もそうしますが、現実は甘くなかったので、工夫してやり方や態度を変えることで自分なりに乗り越えてきました。ここだけの話ですが、今でこそ何事も前向きにとらえて日々過ごしている私も、ストレスで一時は心療内科のお世話になったこともあるんです。でも医者や薬にすがり続けたところで状況は変わらないので、自分のペースで出口を見つけました。親しい人が悩んでいるとなんとか協力したくなるものですが、当時は何もできませんでした。まずは自分が乗り越えて、他人を助けるのはそこからでいいと思います。

前置きが長くなりました(笑)

 

いろいろあって私なりに導き出した答えが“期待しないこと”

 

『期待しない』とか『あてにしない』という表現はネガティブに伝わってしまうかもしれませんが『ありのままを受け入れる』というニュアンスが近いと思うのです。私の場合は『期待しない』っていう言い方がしっくりきただけの話です。

 

期待するから現実のギャップに悩むわけであって『そういうもん(人)か』と思えたらスッと楽になりました。それ以上でもそれ以下でもない、そこにある事実だけです。好きであれば近づけばいいし、嫌いであれば離れればいい。善悪ではなくて、好きか嫌いか、自分の(勝手に作った)物差しに合うか合わないか、自分のキャパで受け入れられるか受け入れられないかだけで判断すればいいと思います。誰も悪くないのです。

 

ドライで冷たい感じを受ける人もいるかもしれません。でも決してそんなことはないです。いがみ合うわけでもなければ、無視しあうわけでもありません。自分が向かない人や仕事には最小限のエネルギー消費にとどめ、持てるパワーを情熱をかけたいものに最大限注ぐ。これほど充実感のある状態はないです。結果もついてきやすいです。

今まで不本意ながら相手してきた人やモノが多い人は、それらを捨てるまでに少しばかり勇気がいると思いますが、『私は私』『それはそれ』というスタンスの方がかえってストレスなく関われることもありますのでひと頑張りしてみるといいです。

 

ただし現実問題として仕事として関わる以上、自分の苦手な人やモノとの付き合いはあるでしょうし、関係をいきなりバッサリ切ることはなかなか出来ない人が多いわけです。ひとまず(自分の都合で勝手に)期待せず、自分にできることはきちんとやって、出た結果は仕方がないんだ(そーゆーもん)と思えるよう意識すれば、意外と今まで悩んでいたのがウソのように軽くなりますよ。

 

もっと自分の気持ちを大切にして、もっと自分を解放していいと思います。くれぐれもキレろという意味ではありません。一周回ってありのままが一番楽だし力が入れられる状態です。ありのままの自分になって誰かに負担をかけないか、迷惑をかけないか不安になる人もいるかもしれません。大きな規模で考えたら、大した影響はありませんから、自分のため、自分の仕事や暮らしがポジティブになるために、ぜひ『期待しないこと』を実践してみてください。皆さんのメンタルヘルスケアの一助になれば幸いです。

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

第8話 現場は人手不足?では適正な人数は?デイサービスの人員配置基準

こんにちは、藤田です。

不定期な更新ですが、“皆々が互いの幸せづくりに貢献する”という理念に共感した私なりのアプローチで働きやすい職場づくりの参考資料的な位置づけでブログを活用いただければと思って書いています。

 

さて、今日は介護事業所の人員について検討して頂きたいと思います。介護業界は慢性的な人手不足と言われ続け、どこのに行っても『うちはスタッフがばっちり足りていて・・』という事業所は見かけません。

しかし本当に足りていない状態であれば事業を継続してはいけないことになっています。つまり営業できているということは“基準上は”満たしていることになります。現場がしんどくても、です。

ちなみにデイサービスセンターけいあい園で例えるとこんなイメージです。※もっと細かいルールがあるんですがイメージを掴んでいただきたいので割愛します。

管理者・・・・・・1人

生活相談員・・・・1人

介護職員・・・・・利用者15人に対して1人、

         以降5人利用増ごとに介護職員1人

看護職員・・・・・1人

機能訓練指導員・・1人(看護職員が兼務可)

つまり定員割れやお休みの利用者が相次いだりして15人以下の利用の場合、介護職員は1人、看護師さんが機能訓練指導員を兼ねて登録されている場合は、管理者と相談員あわせて4人いれば、基準は満たしています。4人で送迎から入浴、食事、排せつ介助、レクリエーションに記録作成と、休憩時間も確保して、全ての業務を回しましょう。

『そんなムチャな話あるかいな・・・』と思われるかもしれませんが、あくまで最低限の基準はそうなんです。ここからは経営者だけでなく、現場スタッフの腕の見せどころなのですが、人件費を切り詰めすぎても、人員にゆとりを持たせすぎても運営は厳しくなります。デイサービスは介護報酬が定められていますから、職員が多いから利用料を2倍にする、というわけにはいきません。

 

せっかくなので、生々しい話ですが事業所の売り上げを想像してみましょう。介護報酬はオープンになっているので誰でも調べられます。ちなみに高齢者1人が7時間程度デイサービスを利用した時の1日の費用は分かりますか?要介護度によっても全然違いますし、事業規模や加算の取得状況、食費などの費用にもよるのですが、仮に平均要介護度1~2で7000円としましょう(安めに見積もってます)。1日当たり10人が利用するとします。月曜から土曜まで営業したとして月に26日営業するとします。

すると7000円×10人×26日=1,820,000円(1か月あたり)

年間では1,820,000円×12か月=21,840,000円

デイサービスの平均的な人件費率は約68%と言われていますので、上の計算の場合、年間総支給額1400万円くらいが人件費として準備できるでしょう。年収で計算してみると何人くらい雇えるかイメージがつくと思います。正社員は社会保障費や賞与なども考慮するとパートさんの約3倍のお金が必要ですので、どういう人員構成で運営していくか考えることも事業継続のためには重要です。

かなり乱暴な計算でしたがイメージがわきましたか?『人が足りない』との声にクギを刺したいわけではありませんが、職場の健全運営のために把握しておいて損はないでしょう。もちろん加算を所得したり利用者さんが増えることで数字は大分変わってきますのでご注意ください。

 

利用者さんを事業所が選べるわけではありませんし、タイミングというか運任せなところもあります。あまり手のかからない(表現としては極めて失礼ですが)20人に利用いただくのと、対応にとことん工夫の要る5名のご利用では後者のほうが大変だったりします。同じような条件の利用者で固める必要もないのです(やろうとしても無理です)が、デイサービスの特色をはっきりさせることで自ずと似たニーズの方からの申し込みは見込めますので、そういう視点でけいあい園の良さというか持ち味を振り返る作業は必要だと思います。

『リハビリに特化している短時間型デイサービス』に寝たきりで医療依存度の高い人は合わないでしょうし、運動を中心に頑張りたい比較的お元気な方が『医療スタッフの充実した1日型のデイ』でゆったり過ごすわけにはいかないでしょう。

 

話がそれましたが、意外とデイサービスの人員基準はこんなものなのです。つまり、介護職だから、看護職だから、経営者だから現場スタッフだからと資格や肩書を言い訳にして互いに業務の線引きにこだわっていたのでは現場は回りませんし、かといって自分の立場や役割を認識せず目の前のことにとらわれているだけでも適正な運営が行えません

 

与えられた環境で最大限のパフォーマンスを発揮できるように工夫するだけです。効率の良さを考えるのは重要です。無理をしても良いことありません。以前のブログでイベントが必要か問題提起してみたのもそのためです。しかし効率だけを優先した結果、利用者やスタッフさんの満足度が下がるようでは意味がありません。バランスが大切です。

行きつく先が“バランス”という感覚的な表現になってしまい申し訳ないです。

結局は“回し方”ということなのですが、ここで過去のブログに書いた5Sや動作経済の4原則といった考え方を活かす場面がやってきます。物品の配置の仕方、送迎の回り方、シフトの組み方、それぞれの職種の動き方に至るまで、今より少しでもきれいに片付いて、距離が短くできたり、同時にできたり、楽にできたり、数が減らせたら、限られた人員で出来ることが必ず増えます(休憩時間も含めて)。今後具体例を紹介していきますので参考にしてください。

第7話 ケアマネジャーがデイサービスを選ぶときのポイントは

お疲れ様です。けいあい園相談役の藤田です。

 

『デイサービスで幸せにはたらく。』というタイトルのブログを書いているからには、もちろん読んでくれた人がデイサービスで幸せにはたらけるようなお手伝いをしていくつもりですが、皆さんのお給料がまかなわれているデイサービスにとって多くの利用者さんに来ていただくということは非常に大切なことだと認識いただけると思います。

 

ではどんなデイサービスに利用者が集まるのか。いろんな理由があるわけですが、利用者を各サービスにつなげる役割を担っているケアマネさんが何を決め手にデイサービスを紹介しているのか、気になりませんか?

 

当然、高齢者の方々ひとりひとり、またそのご家庭や暮らしぶりによってニーズは様々なのですが、私もせっかくいろんなケアマネさんと親しくなれたので、『あなたがデイサービスを選ぶときの基準はありますか』とストレートに聞いてみました。といっても5人くらいですが。

ケアマネジャーは利用者や家族の代弁者です。ということはケアマネジャーが紹介したくなる事業所=利用者や家族のニーズに対応してくれる事業所ということになります。事業所を選ぶポイントを伝えることは、それを聞いた事業所がニーズに応える努力をするきっかけになるということなので、世の中に良い介護事業所を作っていくためにケアマネジャーはこの質問に答えていく必要がある!と熱弁しました(笑)

まぁみんな気心知れた人たちなので、そこまで言わなくてもいくらでも教えますよということでしたが。結構共通点もあったので、今日はまとめを報告します。ひとまず第1弾ということで。

 

 

 

●相談窓口の人が信頼できる

多くの利用者や関係機関とやりとりをしているケアマネさんにとって、ひとつひとつの事業所について隅々まで把握するのは至難の業ですよね。ここで重要になるのがケアマネさんとの窓口になる人。管理者や相談員の対応の質です。的確な受け答えや感じの良さ、ちょっとした逆提案などできたらなお良いでしょう。『この人のいるデイに相談してみよう』と思われることが肝心です。

 

●定期的にコミュニケーションがある

利用者や家族のちょっとした変化やニーズをタイミングよく報告したり、定期的にケアマネさんの事務所を訪問して事業所のPRを兼ねた挨拶などをしていくうちに、ケアマネさんに覚えられ、『いつか紹介したいな・・』という感情が芽生えてくるのも事実です。営業活動は苦手な方も多いと思いますが、やっていくうちに慣れますし、やらないといつまでたっても慣れません。相手も人間ですから、馴染みのない事業所に利用者の支援を依頼することはよほどのとき以外はないでしょう。

 

 

●困難なケースに対応してくれる

ケアマネさんにとって初めての事業所への紹介は、支援に困っているケースの相談になることも多いです。先ほどもお伝えしましたがケアマネさんも人間ですから、まずは馴染みの事業所から当たっていくものです。それでもなかなか支援が進まないときに『そういえば、この事業所の人よくチラシくれるから聞いてみようかな』となることもあるわけです。当然、問い合わせを受けた事業所にとっても経験の浅いケースになる可能性がありますが、信頼を勝ち取るチャンスでもあります。可能な限り柔軟に対応してみましょう。

 

 

●特色がわかりやすい

リハビリに力を入れている、レクリエーションが盛り上がる、サービス提供時間が豊富、重度者の対応が可能など利用者の様々なニーズに対してケアマネさんがパッと思い浮かべてくれるかが大切です。いまいちど自身の事業所の強みを振り返ってみましょう。新しく何かに取り組まなくても、すでに他にない素晴らしいケアを行っていることだって多いのです。自分たちでそれが見つけられないときは、事業所同士の交流会のような場で情報交換を通して自分たちの特徴に気づかせてもらいましょう。

 

いかがでしたか?

個人的には『意外とそんなもんか。』と思いました。でもよく考えれば当然だし、目的もなくヘタに目新しいことに手を出してわけがわからなくなるよりは、今やっていることの精度を上げた方が確実かなと思います。そして、人対人の仕事をしている基本に立ち返って、“顔の見える関係”を作ることのほうが大切です。それが進化したら、互いに“無理の言える関係”になります。そうなった利用者さんにとっても事業者側にとってもハッピーなことです。

 

参考になりましたでしょうか?またこういう話をする機会があったら紹介しますね。